テロ,ウイルスとワーム,(そしてあえて云えば無遠慮な権利を主張する一部の業界,)それらにまったく無防備なネットワークから進化できたとき,生きるに信頼できる本当の世界が得られる。
「イリス(Infrastructure for Resilient Internet Systems)」と名付けられた,データの安全化対策を施した新しいインターネット回線が,米国5大学を接続して敷設される。今後5年間の開発期間を経て,実際の稼働につなげる見通し。ネット上にデータを分散配置することで,よりデータの安全性を高める。
なぜイリスは必要なのか? それは,あまりにも現在のインターネットが脆弱だからだ。昨年の米国同時テロ以来よく云われることだが,根本的にサーバーをサイバーテロから防ぐ手段はない。Dos攻撃はどこの誰でも行えるし,より狡猾に,または大規模に行ったら,それはネットワークの死にもつながりかねない。その解決方法として,1つのサーバーにすべてのデータがあるのではなく,さまざまなところに分散して配置する。これにより,ひとつのサーバーが潰されたとしても,そのサーバーにあったすべてのデータにアクセスできなくなることはなくなる。
問題は,いかにその分散しているデータに効率良くアクセスするかで,そのためにDHT(ディストリビューテッド・ハッシュ・テーブル)と呼ばれるシステムが使われる。これは各サーバーが,データの配置図の部分部分をそれぞれ持っている。ひとつのサーバーにすべてのデータがあるのと同じように,分散しているデータを見つけられるようにするのだ。自分にとって都合の悪いデータがあるからと云ってそのサーバーを止めればすむことはない。情報の自由な流通をとどめる方法はない。1回の攻撃ですべてが消えてしまうような,後戻りできない世界でなくなる,という,信頼を生むシステムが,イリスなのだ。
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